大学や専門学校を卒業しデザイン業界に就職しようという人や別の職業からデザイン会社に転職を考えている人、30代〜40代からデザインに興味を持った人など、未経験からデザイン業界へと入りたいけど実務経験がないためデザインの仕事につけないという人は多いのではないでしょうか。
「未経験」というと、ドラクエでいえばレベル1で布の服とこん棒しかないような状態ですね。このような状態からデザイナーになるための最初のステップが一番大変かもしれません。
デザイナーの仕事は、独学できますし、資格はいりません。
医者や教員のように資格を必要としない職業なので、デザイナーと名乗ってしまえば皆んなデザイナーになれてしまうのです。
しかし「自称デザイナー」ってちょっと嫌ですよね。自他共にデザイナーと認められるにはデザイナーになるためのファーストステップを踏み込む必要があります。
自分もかつて同じように「未経験」「実績なし」という状態でなかなかデザインの仕事につけず悩んでいましたので、今回は未経験からデザイナーになるにはどうするべきか最初のステップについて書きたいと思います。
まずはポートフォリオを作成する
なにはなくとも自分をアピールするためのポートフォリオ(制作実績)がなくては始まりません。
会社への所属を希望している人、フリーランスでやろうと考えている人、どんな状況であれまずは自身のHPを持ちポートフォリオを掲載しましょう。
無料でHPを作成できるWIX(ウィックス)やJimdo(ジンドゥ)などありますが、長い目で見るならWordpressでの運営をオススメします。
WordPress自体はオープンソースの無料のブログソフトウェアですし、エックスサーバーなど高速で使い勝手の良いサーバーがとても安価で使用できます。
作品がなければ、ランサーズでレベルをあげよう
ランサーズをご存知ですか?日本最大級のクラウドソーシングの仕事依頼サイトで、クラウドワークスと共に仕事依頼サイトの2大巨塔となります。ここでは仕事を発注したい企業などが募集を出し、それに対して仕事を受注したい人が応募をします。応募といっても
- 提案・見積りを集める(プロジェクト式)
- 実際の制作物を集める(制作物コンペ式)
- 求人への応募を集める(求人募集形式)
- 複数人に単純作業をしてもらう(タスク式)
などがあり、今回デザイナーとしてのレベルをあげるために活用するのは「実際の制作物を集める(制作物コンペ式)」です。
架空の制作物を作るのではなく、実際の案件を作る方がレベルアップにつながる
新卒や未経験の人がやりがちなのが「架空のデザイン制作物をつくる」ということですがこれは微妙です。
ポートフォリオや自分のHPなどに掲載する制作実績などで、実務経験がないから自分で考えた架空のフライヤーやパッケージデザインを作ってしまうことはよくあります。
架空の制作物というのは
- 自分の作りたいジャンル
- 入れたい情報要素
- 自分のさじ加減で「完成」
としてしまいがちです。しかし実際のデザイン仕事のオーダーは
- 自分の知らないジャンル
- 案件によって変わる予測できない情報要素
- 修正が何度も入る
など、そのつど頭をひねるような注文ばかりで、自分の思い通りの形でオーダーがくることはほとんどないでしょう。
つまり架空の仕事よりも実際の仕事の方がクライアントからの要望や情報が具体的で実践を学ぶ事が出来るため、ランサーズやクラウドワークスでそのような仕事を数多くこなせば格段にレベルアップにつながるのです。
一度は会社に所属するべし
ポートフォリオが出来たとしても、いきなりフリーランスで仕事を始めるにはまだ足りない要素が多々あります。
フリーランスのデザイナーとしてやっていくためには、デザインのスキルだけではなくて経営、経理、営業、広報・宣伝、事務作業など、デザイン以外にもやらなければならないことがたくさんあります。
デザインを受注してから納品するまでの流れや、印刷の知識、印刷所の選定などは会社に所属して働きながら学ぶ方が効率的です。
少なくとも1〜3年くらいは会社で働きながら学び、その後独立する方が賢明です。
会社にとって実績よりも即戦力が大切
有名な仕事をアピールしても反応はイマイチな場合も
自分もデザイン会社に勤めていた際に、面接に立ち会い様々なポートフォリオをみましたが、中には誰もが知る大企業のデザインやとても高いクオリティの作品などもありました。
しかしそ、そういった大企業のデザインなどはチームで作ることが多く、例えばフライヤーひとつとってもレタッチやレイアウトは別の人が担当し、自分はロゴデザインしかやっていないとか、大元のデザインは一次受けのデザイン会社が作成して自分はその素材をもとにレイアウトをしただけ、といったこともあります。
会社にとってはあなたがどれくらいのポテンシャルがあって、即戦力になりうるか知ってもらうことが一番重要な判断基準であるはずです。
ですので、実際にコンペで採用されなかった案だとしても、実在する仕事でクライアントの要望を汲みデザインを作成したという経験はなによりの実績として相手は判断してくれるでしょう。
お金にはならないし時間もかかるけど・・・
もちろんランサーズやクラウドワークスのコンペで勝ち残れば報酬も得られます。しかし、未経験・初心者の方がコンペで勝ち上がるのはかなり大変です。
これらのクラウドソーシングサイトはプロのデザイナーも数多くおり、一度募集をかければ何十件も提案がくることがザラであります。
クライアントの要望を汲み、真剣に頭をひねって考えてデザインを制作するのはとても時間がかかります。そして勝たなければ報酬も得られません。しかし、間違いなくスキルと作品は残ります。
もちろんコンペで通らなかった作品を自分のHPなどに勝手にアップするのはNGですが、例えば写真や社名を別のものに差し替えたりすれば、具体性を持った作品例としてアピールできるでしょう。会社の面接などでもっていくポートフォリオであれば、正直にランサーズやクラウドワークスに応募して不採用になったものですと言ってもそこに難色を示すことはまずないでしょう。
まずは実践(コンペ)でひたすら修行する!
とにもかくにも、あなたのデザインスキルがどれくらいなのかアピールしないことには、誰もあなたをデザイナーとして評価してくれず、デザインの依頼が来ることもありません。
未経験やまったく実績のない人は、質の高いポートフォリオを数多く作ることが自分を売り込むチャンスになります。
ひたすらコンペに参加しまくって、少なくとも20作品以上ができればデザイン業界にはいる大きなワンステップになるのでしょう。